物理学1A

全学共通教育科目, 大阪大学, 全学共通教育機構, 2018

専門基礎教育科目(理学部)、月曜日3限、共B207教室

試験通知

  • 日時 8月6日 13時より14時30分まで(3限)
  • 科目 物理学1A(135749)
  • 担当 湯川諭
  • 教室 共B207

試験範囲は講義の初めから、質点系・二体問題まで。剛体の範囲は含まない

スケジュール

4月9日
始めに: 大学の物理とは。物理学とは。近似について。Taylor展開
質点の運動の記述: 物理量と単位、次元。無次元量。
数学的内容: Taylor展開

4月16日
質点の運動の記述: ベクトル(定義、内積、外積)
数学的内容: ベクトルとその演算(大きさ、内積、外積)

4月23日
質点の運動の記述: 位置の表現と、速度、加速度
数学的内容: ベクトルの微分

5月7日
運動の法則: Newtonの運動の法則、力積、慣性の法則
運動方程式の解法: 運動の分解、放物運動
数学的内容: 常微分方程式とその解法1(素直に積分する)

5月14日
運動方程式の解法: 摩擦を受ける落体の運動(粘性抵抗、慣性抵抗)
数学的内容: 常微分方程式とその解法2(変数分離型)、指数関数、三角関数、双曲線関数

5月21日
運動方程式の解法: 単振動、減衰振動
数学的内容: 常微分方程式とその解法3(定数係数線形常微分方程式,斉次/非斉次)

5月28日
運動方程式の解法: 強制振動(共鳴)
仕事とエネルギー: 保存量、仕事と運動エネルギー
数学的内容: 常微分方程式とその解法3(定数係数線形常微分方程式の非斉次型)

6月4日
仕事とエネルギー: 仕事と運動エネルギー、保存力と力学的エネルギー保存則、 ポテンシャルエネルギーの例
数学的内容: 線積分、偏微分

6月11日
中間試験(仕事とエネルギーまで)30分程度
角運動量保存: 角運動量とモーメント、中心力、面積速度
惑星の運動:ケプラーの三つの法則、軌道

6月18日
(地震のため臨時休講)

6月25日
惑星の運動: 軌道の分類、楕円運動、ケプラーの第三法則

7月2日
質点系: なぜ質点系か
二体問題: 相対運動の分離、換算質量、衝突

7月9日
二体問題: 連成振動
質点系: 質量中心、全運動量、全角運動量、全エネルギーの分解

7月23日
質点系: 全角運動量、全エネルギーの分解
剛体運動入門:質点系から剛体へ、剛体の自由度、運動方程式

7月30日
(臨時休講 この分は8月8日に補講。もし参加できなかった人で興味ある人は連絡ください。)
剛体運動入門: 角運動量の表現、慣性モーメント、回転運動のエネルギー、 任意の軸の周りの慣性モーメント

8月6日
期末試験

Quiz

Quiz1(4月9日出題)
「速さ」「力」「エネルギ-」「仕事」の次元を、質量長さ時間の単位\(M, L, T\)の組み合わせで 表せ。

Quiz 2(4月16日出題)
互いに平行でない三つの独立したベクトル \( \mathbf{a}, \mathbf{b}, \mathbf{c} \) に対して \[ \left\lvert (\mathbf{a} \times \mathbf{b} ) \cdot \mathbf{c} \right\rvert \] が、\( \mathbf{a}, \mathbf{b}, \mathbf{c} \) がつくる平行六面体の体積である事を示せ。

Quiz 3(4月23日出題)
三次元空間中の運動を位置ベクトルをつかって、 \( \mathbf{r}(t) = x(t) \mathbf{e}_x +y(t) \mathbf{e}_y +z(t) \mathbf{e}_z \) と表す。ただし\(u, \omega, v\) を正の定数として とする。

  1. 速度ベクトル、加速度ベクトルを求めよ。
  2. 運動の位置ベクトル\(\mathbf{r}(t)\)を 円柱座標系\(\{r, \theta, z\}\)および円柱座標系の基本ベクトル \( \{ \mathbf{e}_r, \mathbf{e}_\theta, \mathbf{e}_z\} \) をつかって表せ。
  3. 円柱座標系のまま、速度ベクトル、加速度ベクトルを求めよ。

Quiz 4(5月7日出題)
水平面と角度\( \theta \)をなすなめらかな斜面上の質量\( m \) の小物体の運動について

  1. 適切に座標系を取り、運動方程式を書き下せ。
  2. その運動方程式を積分し、運動を表せ。

なお重力加速度を\( g\)とする。

Quiz 5(5月14日出題)
速度に比例した抵抗力が働く落体の運動方程式 \[ m \dfrac{d^2y}{dt^2} = - mg - \lambda m \dfrac{dy}{dt} \] を解き\( v(t)\) および\( y(t) \)を求めよ。ただし\( v(t) = \dfrac{dy}{dt} \)として、 \( t=0 \)で\( v(0) = v_0, \enspace y(0) = y_0 \)という初期値であったとする。

Quiz 6(5月21日出題)
減衰振動の運動方程式 \[ m \dfrac{d^2x}{dt^2} = - m \omega^2 x - \lambda m \dfrac{dx}{dt} \] を、\( v(t) = \dfrac{dx}{dt} \)として、 \( t=0 \)で\( v(0) = 0, \enspace x(0) = x_0 \)という初期条件のもと解け。また バネの伸び\( x(t) \)の時間変化の概形を図示せよ。

Quiz 7(5月28日出題)
以下の\( y(t) \)に関する非斉次の1階線形微分方程式を考える。 \[ \left[ \dfrac{d}{dt} - a \right] y(t) = f(t) \] \( a \)は定数、\( f(t) \)は\( t\) のあらかじめ定まったある関数とする。 斉次方程式(\( f=0 \)) を解くと、 \[ y(t) = C e^{at} \] が一般解である。 \( f \ne 0 \) の時、この斉次方程式の解の定数 \( C\) を関数 \( g(t) \) で置き換えて代入することで、非斉次方程式の特解を求める事ができる。(定数変化法)

  1. 実際に、定数\( C\)を置き換えたものを非斉次方程式に代入し、\( g(t) \)が満たす微分方程式を求めよ。
  2. 具体的にその方程式を解き、特解\( y(t) \)を求めよ。

Quiz 8(6月4日出題)
力のベクトルが\( \mathbf{F} = (x,xy) \)であたえられる時、 原点\( (0,0) \)から点\( (1,1) \) への線積分 \[ \int_{(0,0)}^{(1,1)} d\mathbf{r} \cdot \mathbf{F} \] を以下の2つの経路について実行せよ。

  1. 原点\( (0,0) \)から\(y\)軸上を通って\( (0,1) \)まで行き、 \(x\)軸に平行に\( (0,1) \) から\( (1,1) \)まで行く経路
  2. 原点\( (0,0) \)から\( (1,1)\)まで、\( (1,0) \)を中心とする 半径\( 1\)の円周上を行く経路

Quiz 9 (6月25日出題)
粘性抵抗を受けながら強制的に振動させられる振動子を考える。運動方程式は \[ m \dfrac{d^2x}{dt^2} = - m \omega^2 x - \lambda m \dfrac{dx}{dt} +m a \sin \Omega t \] とする。\( \omega \ne \Omega\)の場合を考える。強制振動外力の周期\( T \) は \( T= \dfrac{2\pi}{\Omega} \)で与えられる。 十分に時間が経過した後の解を求め、

  1. 全力学的エネルギーの一周期に対する時間平均 \[ \bar{E} = \dfrac{1}{T} \int_0^T dt \left\{ \dfrac{1}{2} m \left(\dfrac{dx}{dt}\right)^2 + \dfrac{1}{2} m \omega^2 x^2 \right\} \] を求めよ。
  2. 粘性抵抗力がおこなう仕事の一周期に対する時間平均 \[ \bar{F}_1 = \dfrac{1}{T} \int_0^T dt \dfrac{dx}{dt} \left\{ - \lambda m \dfrac{dx}{dt} \right\} \] を求めよ。
  3. 強制振動外力がおこなう仕事の一周期に対する時間平均 \[ \bar{F}_1 = \dfrac{1}{T} \int_0^T dt \dfrac{dx}{dt} \left\{ m a \sin \Omega t \right\} \] を求めよ。
  4. エネルギー収支を考察せよ。

Quiz 10(7月2日出題)

外力無し、内力が中心力でかつ保存力の二体問題を考える。運動方程式は \[ m_1 \dfrac{d^2 \mathbf{r}_1}{dt^2} = \mathbf{F}_{12} \enspace, \quad m_2 \dfrac{d^2 \mathbf{r}_2}{dt^2} = \mathbf{F}_{21} \] である。内力は仮定により作用反作用の法則を満たす。 \[ \mathbf{F}_{12} = - \mathbf{F}_{21} \] さらに、 質量中心のもつ角運動量 \[ \mathbf{L}_G = \mathbf{R} \times \mathbf{P} \] とする。ただし、\( \mathbf{R} \)は質量中心の座標 \( \mathbf{R} = \dfrac{m_1 \mathbf{r}_1 + m_2 \mathbf{r}_2 }{m_1+m_2} \) であり、\( \mathbf{P}\) は全運動量 \( \mathbf{P} = m_1 \dfrac{d\mathbf{r}_1}{dt} + m_2 \dfrac{d\mathbf{r}_2}{dt} \) である。

また、質量中心まわりの角運動量 \[ \mathbf{L}' = \mathbf{r}_1' \times \mathbf{p}_1' + \mathbf{r}_2' \times \mathbf{p}_2' \] とする。質量中心から測った位置ベクトルを\('\)をつけて表し、\( \mathbf{r}_i' = \mathbf{r}_i - \mathbf{R} \) とする。また\( \mathbf{p}_i' = m_i \dfrac{d\mathbf{r}_i'}{dt} \) である。

  1. \( \dfrac{d\mathbf{L}_G}{dt} \) および\( \dfrac{d\mathbf{L}'}{dt} \) を求めよ。

Quiz 11(7月9日出題)

ばね定数\( k, k'\)、自然長\( \ell, \ell'\)をもつバネを使って 左から壁、\(k,\ell\)をもつバネ、質点1、\(k',\ell'\)をもつバネ、 質点2、\(k,\ell\)をもつバネ、壁という順で接続する。 このとき、質点の位置をそれぞれ左の壁から測って\( X_1, X_2\)とする。 系全体の長さを\( L\)とすると、 ポテンシャルエネルギーは \[ V(X_1,X_2) = \dfrac{1}{2} k (X_1-\ell)^2 + \dfrac{1}{2} k' (X_2-X_1-\ell')^2 + \dfrac{1}{2} k (L-X_2-\ell)^2 \] となる。

  1. 質点1、質点2それぞれの力学的平衡位置、すなわち力がつりあい質点1質点2にかかる力がそれぞれ\( 0 \)になる点\( \bar{X}_1, \bar{X}_2\)を、それぞれもとめよ。
  2. \( \bar{X}_1, \bar{X}_2\)からの変位をそれぞれ\( x_1, x_2\)とする。 すなわち \begin{align} X_1 & = \bar{X}_1 + x_1 \\ X_2 & = \bar{X}_2 + x_2 \end{align}とおく。 質点1、質点2にかかる力が、それぞれ \begin{align} F_1 & = -k x_1 + k' (x_2-x_1) \\ F_2 & = -k x_2 - k' (x_2-x_1) \end{align} となることを示せ。

Quiz 12(7月23日出題)

質点系において \( i \)番目の質点の運動方程式を \[ m_i \dfrac{d^2 \mathbf{r}_i}{dt^2} = \mathbf{F}_i^{(ex)}(\mathbf{r_i}) +\sum_j \mathbf{F}_{ij}(\mathbf{r_i}-\mathbf{r_j}) \] とする。ここで力は、外力\( \mathbf{F}_i^{(ex)}\)、内力\( \mathbf{F}_{ij}\) ともに保存力であるとし、 ポテンシャルから微分でえられるとする。 \begin{align} \mathbf{F}_i^{(ex)}(\mathbf{r}_i) & = - \dfrac{\partial U_i^{(ex)}(\mathbf{r}_i)}{\partial \mathbf{r}_i} \\ \mathbf{F}_{ij}(\mathbf{r}_i-\mathbf{r}_j) & = - \dfrac{\partial U_{ij}(\mathbf{r}_i-\mathbf{r}_j)} {\partial \mathbf{r}_i} \end{align} この時、質点系の全エネルギー\( E\)が保存することを示せ。 \[ E = \sum_i \dfrac{1}{2} m_i \mathbf{v}_i^2 + \sum_i U_i^{(ex)}(\mathbf{r}_i) +\dfrac{1}{2} \sum_{i,j} U_{ij}(\mathbf{r}_i-\mathbf{r}_j) \]

評価

試験(中間、期末に各一回、60%)、及びQuiz等(平常点 40%)で判断する。シラバスに従う。

数学について

物理はトリビアや公式の集合ではなく、数学的にきちんと記述されるものです。 その記述の中では、微分やベクトル、行列などが出てきます。 微分やベクトルは高校の数学の中で習得してるはずのものですが、 行列に関しては大学の線形代数で初めて習う対象です。 講義の中で行列が出てくるところでは適切に補足していくつもりですが、 自習用のために参考書を挙げておきます。

  • 参考書: 長谷川浩司「線形代数(改訂版)」日本評論社、 特に第一部は完全に身につけることが必要。 また、常微分方程式についても重点を置いて取り扱います。参考書を挙げておきます。
  • 参考書: 坂井秀隆「大学数学の入門10 常微分方程式」東京大学出版会

参考書

参考書は、詳しい内容や教科書以外の記述を見たくなった場合に利用してください。 また関連図書は直接講義とは関係ないが、力学やその周辺に関連するものです。 おそらくすべて大学図書館にあります。

  • 教科書: 藤原邦男「物理学序論としての力学」東京大学出版会
  • 参考書: 前野昌弘「よくわかる初等力学」東京図書
  • 参考書: 窪田高弘「力学入門」培風館
  • 参考書: リチャード・ファインマン、ロバート・レイトン、マシュー・サンズ、坪井忠二訳「ファインマン物理学 I 力学」岩波書店
  • 演習書: 後藤憲一、山本邦夫、神吉健共編「詳解力学演習」共立出版
  • 演習書: 江沢洋、中村孔一、山本義隆著「演習詳解力学」日本評論社
  • 関連図書: ゴールドスタイン「古典力学」吉岡書店
  • 関連図書: エルンスト・マッハ、岩野秀明訳「マッハ力学史 古典力学の発展と批判(上、下)」ちくま学芸文庫
  • 関連図書: 山本義隆「古典力学の形成 ニュートンからラグランジュへ」日本評論社
  • 関連図書: 山本義隆「重力と力学的世界 古典としての古典力学」現代数学社