電磁気学詳論II
全学共通教育科目, 大阪大学, 全学共通教育機構, 2022
専門基礎教育科目(基礎工学部)、火曜日1限、 シラバス CLE授業支援システム オンライン講義の接続情報 このページ
期末試験
8月2日(火曜1限) 共A302にて
その他、詳細は講義中に発表する。
スケジュール
4月12日(オンライン)
オンラインで開講予定、CLE授業支援システムの掲示を見ること。
電磁気学詳論Iの復習
真空中の電磁波: 波動方程式の導出とその解
4月19日(オンライン)
真空中の電磁波: 電磁波としての性質、エネルギーと運動量
4月26日(オンライン)
真空中の電磁波: 偏光
電気伝導と導体の性質: 導体、電荷の保存則、電気伝導
5月10日(オンライン)
電気伝導と導体の性質: ジュール熱、ホール効果
誘電体: 分極、電束密度、誘電率
5月17日(オンライン)
誘電体: 境界条件、エネルギー、具体例
5月24日(オンライン)
磁性体: 磁化、磁化電流、透磁率
5月31日(オンライン)
磁性体: 境界条件、エネルギー、具体例
6月7日(オンライン)
磁性体: 具体例の続き、強磁性体
6月14日(オンライン)
超伝導体と磁場: 完全反磁性、ロンドン方程式
物質中の電磁波: 物質中のマクスウェル方程式、屈折率
6月21日(オンライン)
物質中の電磁波: 反射、屈折
6月28日(オンライン)
物質中の電磁波: 内部全反射、エバネッセント光、反射波の位相、導体と電磁波
7月5日(オンライン)
回路: 起電力、定常電流回路の基礎方程式、キルヒホッフの法則、準定常回路
7月12日(オンライン)
回路:準定常回路、LC回路、RC回路、RLC回路
7月19日(オンライン)
回路: 交流、複素数表示、インピーダンス、リアクタンス
7月26日(オンライン)
回路: ローパスフィルタ・ハイパスフィルタ
8月2日
期末試験(予定)
Quiz
解答はCLE経由で提出すること。手書き文書のスキャン、Word文書、Tex文書など形式は問わないが、最終的に提出時には一つのpdfファイルにまとめて提出すること。 基本的に提出締め切りは、出題日の一週間後の正午とします。
Quiz 1(4月12日出題)
ベクトル微分演算子\( \nabla \)およびベクトル値関数\( \boldsymbol{A} \)に対し \[ \nabla \times ( \nabla \times \boldsymbol{A}) = \nabla (\nabla \cdot \boldsymbol{A} ) - \nabla^2 \boldsymbol{A} \] となることを示せ。
Quiz 2(4月19日出題)
宇宙空間で大きな帆を張り電磁波の運動量をつかって推進するソーラーセイルとよばれる推進機構が提案されている。 地球近傍で太陽からの電磁波によるエネルギー流密度は\( 1.4\times 10^3 \mathrm{W}/\mathrm{m}^{2}\)である。 この電磁波をソーラーセイルで完全に反射した場合、\( 1\mathrm{m}^{2} \)あたり受ける力を求めよ。
Quiz 3(4月26日出題)
Drudeモデルで電気伝導率\( \sigma \)は \[ \sigma = \dfrac{ne^2\tau}{m} \] と計算された。銅の場合に値を計算してみよ。ただし銅の自由電子密度を\( n=8.5\times 10^{28} \mathrm{m}^{-3} \)、 緩和時間\( \tau \)は、平均自由行程\( \ell = 4.0\times 10^{-8} \mathrm{m}\)を電子の特徴的な速度\( v=1.6\times 10^6 \mathrm{ms^{-1}}\)で割って求めよ。 その他の数値は理科年表などで調べよ。
Quiz 4(5月10日出題)
Drudeモデルに磁場を加えたものを二次元で考察する。 粒子は\( xy \)平面内を運動し、\( z \)軸正の向きに磁場\( \boldsymbol{B} \)がかけられているとする。 電荷\( q (> 0) \)、質量\( m \)をもつ荷電粒子の速度\( \boldsymbol{v} \) は、定常状態で \[ q \boldsymbol{E} - \dfrac{m}{\tau} \boldsymbol{v} + q \boldsymbol{v} \times \boldsymbol{B} = 0 \] を満たす。 電流密度\( \boldsymbol{i} = \rho \boldsymbol{v} = n q \boldsymbol{v} \)は\( x\)軸正の向きを向いていると仮定して、 Hall電場(電流と直交する方向の電場成分)の大きさを求めよ。
Quiz 5(5月17日出題)
極板面積を\( S \)、極板間を\( d\)とする平行平板キャパシタの内部に誘電率\( \epsilon \)の誘電体が詰められている。 極板に面密度\( \pm \sigma \)で電荷を与えたとき、極板近傍に生じる分極電荷の面密度を求めよ。
Quiz 6(5月24日出題)
原点にある磁気双極子モーメント\( \boldsymbol{m} \)が点\( \boldsymbol{r} \)につくるベクトルポテンシャルは \[ \boldsymbol{A}(\boldsymbol{r}) = \dfrac{\mu_0}{4\pi} \dfrac{ \boldsymbol{m} \times \boldsymbol{r}}{\lvert \boldsymbol{r} \rvert^3} \] である。このベクトルポテンシャルが表す磁束密度\( \boldsymbol{B} \)を計算し、結果が磁気双極子モーメントが作る磁束密度と同じことを確認せよ。
Quiz 7(5月31日出題)
講義で、半径\( a\)の円柱型常磁性体(透磁率\( \mu \))に一様に電流 \( I \)が流れているときの、磁場\( \boldsymbol{H} \)と磁束密度\( \boldsymbol{B} \)を導出した。
- 導出した結果で磁場\( \boldsymbol{H}\)の\( \phi \)成分が \( r=a \)で連続である事を確認せよ。
- 磁束密度\(\boldsymbol{B}\)の\( \phi \)成分が \( r=a \)で不連続である事を確認せよ。磁束密度 \( \boldsymbol{B} \)に対する接線方向の境界条件をMaxwell方程式から書き下し、この不連続性が表面を流れる磁化電流によることを示せ。
Quiz 8(6月7日出題)
半径\( a \)の無限に長い円柱型強磁性体が\( z\)軸の向きに存在する。 この内部に磁化\( \boldsymbol{M} \)が一様に分布しているとき、磁化は円柱座標系\( {\rho,\phi,z } \)をつかって \[ \boldsymbol{M} = M_0 \Theta( a - \rho )\boldsymbol{e}_z \] と表すことができる。ここで \( \Theta(x) \)はヘビサイドのステップ関数である。 磁化電流密度を円柱座標系でディラックのデルタ関数を使って表せ。
Quiz 9(6月14日出題)
渦度\( \boldsymbol{\omega} \)を \[ \boldsymbol{\omega} = \nabla \times \boldsymbol{v} + \dfrac{q}{m} \boldsymbol{B} \] と定義する。 速度場の時間発展が \[ \dfrac{\partial \boldsymbol{v}}{\partial t} + (\boldsymbol{v}\cdot \nabla ) \boldsymbol{v} = \dfrac{q}{m} ( \boldsymbol{E} + \boldsymbol{v}\times \boldsymbol{B}) \] を満たすとき、渦度の時間発展が \[ \dfrac{\partial \boldsymbol{\omega}}{\partial t} = \nabla \times (\boldsymbol{v} \times \boldsymbol{\omega}) \] となることを示せ。
Quiz 10(6月21日出題)
電場が波動として \[ \boldsymbol{E} = \boldsymbol{E}_0 \exp \left(i \boldsymbol{k}\cdot \boldsymbol{r} - i \omega t \right) \] として伝わるとき、磁束密度の形をMaxwell方程式 \( \dfrac{\partial \boldsymbol{B}}{\partial t} = - \nabla \times \boldsymbol{E} \) から導け。
Quiz 11(6月28日出題)
可視光線に対して、入射波の振幅に対する反射波の振幅は、 電場が入射面に直交する場合 \[ \dfrac{E_{0}’’}{E_{0}} = \dfrac{n_{1} \cos \alpha - n_{2} \cos \gamma} {n_{1} \cos \alpha+n_{2} \cos \gamma} \] である。 また電場が入射面と平行な場合 \[ \dfrac{E_{0}’’}{E_{0}} = \dfrac{n_{2} \cos \alpha - n_{1} \cos \gamma} {n_{2} \cos \alpha+n_{1} \cos \gamma} \] である。 反射率はそれぞれの絶対値の二乗で与えられる。内部全反射が起きる場合に、反射率がそれぞれ\( 1\)となることを示せ。
ただし、全反射が起きるときには\( \cos \gamma \)を、純虚数として \( \cos \gamma = i \delta \) と表す事ができ、反射率は振幅比とその複素共役の積で計算することができることを使ってよい。
Quiz 12(7月5日出題)
\( N \)個の抵抗値\( R_i \enspace i=1,2,\dots,N \)をもつ抵抗を並列につなぐ。 この合成抵抗をキルヒホッフの法則にもとづき導出せよ。
Quiz 13(7月12日出題)
抵抗値\( R \)の抵抗と、電気容量\( C \)のキャパシタが直列につながれており閉回路を構成しているとする。時刻\( t=0 \)でキャパシタに電荷\( q_0 \)蓄えられていたとする。キャパシタに蓄えられている電荷を時間\(t\)の関数として求め、放電の様子を調べよ。また抵抗で散逸されるすべてのジュール熱 \[ \int_0^\infty R I(t)^2 dt \] が、元のキャパシタに蓄えられていたエネルギーと等しいことを確認せよ。
Quiz 14(7月19日出題)
抵抗値\( R \)の抵抗と、電気容量\( C \)のキャパシタ、自己インダクタンス\( L\)のコイルが並列につながれている。 これに交流起電力\( \mathcal{E} = \mathcal{E}_0 \cos \omega t\)をかけたときの、電流の振幅を求めよ。
評価
期末試験(60%)、及びQuiz等(平常点 40%)で判断する。シラバスに従う。
文献
電磁気学詳論Iでつかった教科書や資料は参考になります。 それ以外の参考書、演習書などをあげおきます。 参考書は、詳しい内容や教科書以外の記述を見たくなった場合に利用してください。 すべて大学図書館にあると思います。
- 参考書: 前野昌弘「よくわかる電磁気学」東京図書
- 参考書: 太田浩一「電磁気学の基礎I」東京大学出版会
- 参考書: 太田浩一「電磁気学の基礎II」東京大学出版会
- 参考書: J. D. ジャクソン(著)、西田稔(訳)「電磁気学(上)」吉岡書店
- 演習書: 後藤憲一、山崎修一郎(編)「詳解電磁気学演習」共立出版