統計力学2
理学部物理学科専門教育科目, 大阪大学, 理学部, 2025
専門科目、水曜日2限、理D303教室
スケジュール
10月1日
イントロ: 統計力学2で学ぶこと
縮退した気体と粒子の統計性: 自由粒子におけるエントロピーの破綻
10月8日
縮退した気体と粒子の統計性: 波動関数の対称性と粒子の統計性、占有数とボース分布関数、フェルミ分布関数
10月15日
縮退した気体と粒子の統計性: 占有数とボース分布関数、フェルミ分布関数
理想フェルミ気体: 理想フェルミ気体としての金属中の電子
10月22日
10月29日
11月5日
(月曜日の振替で講義なし)
11月12日
11月19日
11月26日
(月曜日の振替で講義なし)
12月3日
12月10日
12月17日
12月24日
1月7日
1月14日
1月21日
1月28日
2月4日
Quiz
解答はCLE経由で提出すること。手書き文書のスキャン、Word文書、Tex文書など形式は問わないが、 最終的に提出時には一つのpdfファイルにまとめて提出すること。 基本的に提出締め切りは、出題日の一週間後の10時30分とします。
Quiz 1(10月8日出題)
\( N=2 \)の自由粒子系で一粒子固有状態のラベルが\( k=1,2,3 \)の互いに異なるエネルギー\( \epsilon_k\)をもつ3状態のみしか取らない場合を考える。 全体のエネルギー固有関数 \(\begin{equation*} \Psi_{k_1,k_2}(\boldsymbol{q}_{A},\boldsymbol{q}_{B}) = \phi_{k_1}(\boldsymbol{q}_{A}) \phi_{k_2}(\boldsymbol{q}_{B}) \end{equation*}\)
に対し、粒子が区別できるとしたマクスウェル・ボルツマン統計では 微視的状態は \(\begin{gather} \Psi_{1,1}(\boldsymbol{q}_A, \boldsymbol{q}_B)\\ \Psi_{2,2}(\boldsymbol{q}_A, \boldsymbol{q}_B)\\ \Psi_{3,3}(\boldsymbol{q}_A, \boldsymbol{q}_B)\\ \Psi_{1,2}(\boldsymbol{q}_A, \boldsymbol{q}_B)\\ \Psi_{2,3}(\boldsymbol{q}_A, \boldsymbol{q}_B)\\ \Psi_{1,3}(\boldsymbol{q}_A, \boldsymbol{q}_B)\\ \Psi_{1,2}(\boldsymbol{q}_B, \boldsymbol{q}_A)\\ \Psi_{2,3}(\boldsymbol{q}_B, \boldsymbol{q}_A)\\ \Psi_{1,3}(\boldsymbol{q}_B, \boldsymbol{q}_A) \end{gather}\) の9こである。
- ボース粒子がしたがうボース・アインシュタイン統計での完全対称なエネルギー固有関数を上の波動関数をもとに具体的に表せ。また微視的状態の総数はいくつになるか。さらに具体的に構成したそれぞれの完全対称な関数に対し占有数\( { n_1,n_2,n_3} \)を求めよ。
- フェルミ粒子がしたがうフェルミ・ディラック統計での完全反対称なエネルギー固有関数を上の波動関数をもとに具体的に表せ。また微視的状態の総数はいくつになるか。さらに具体的に構成したそれぞれの完全反対称な関数に対し占有数\( { n_1,n_2,n_3} \)を求めよ。
評価
平常点(40%)、および期末試験(60%)で評価する。平常点は、適宜出題する小レポート(Quiz)の提出状況で評価する。 シラバスを参照すること。
参考書、参考文献
- 湯川諭「統計力学」 (日本評論社、2021) (正誤表がhttps://stsykw.github.io/StatisticalMechanics-support/にあります。)
- 田崎晴明「統計力学I,II」(培風館、2008)
- 高橋和孝「熱力学・統計力学 熱をめぐる諸相」(講談社、2023)
- 清水明「統計力学の基礎I」(東京大学出版会、2024)
演習書
- 久保亮五編「大学演習 熱学・統計力学」(裳華房、1961)
スピン・統計定理
- 井田大輔「現代量子力学入門」(朝倉書店、2021)
実在気体
- 戸田盛和・松田博嗣・樋渡保秋・和達三樹「液体の構造と性質」(岩波書店、1976)